128 『長寿と性格』を読んで

ハワード・フリードマンとレスリー・マーティンの共著による この本は全米で長寿と健康に関するこれまでの常識を覆した と言う意味でベストセラー本の仲間入りをした。

この二人は、今から90年ほど前から、この長寿と性格の関係を 調べ始めたスタンフォード大学のルイス・ターマン教授の研究 を引き継ぎ、1,500人の生涯を、ほぼ100年間に渡って追跡した 研究として高い評価を得ている。

この研究は、これまで長寿に結びつくと言われていた性格が、 必ずしも正しくないということを多くの事実から証明しており 、全米の健康医療に携わる人々に大きなショックを与えた。

健康に関する医学の常識は、その日進月歩の進歩によって大き く変わるのは当然のことであるが、医学界や製薬業界における ビジネスの継続性を担保するためか、必ずしもタイムリーにき ちんと報道されない危険性も持っている。

例えば、最近議論になっている早期糖尿病の新たな治療法とし て注目を浴びている糖質制限療法などが良い例である。 この糖質制限療法は、妻の同級生で大学の学長の方が試行され、 減量と血糖値低下に良い効果を得られたと言うので、我々夫婦 でも、3か月ほど前から始めたが大変良い結果が得られている。

アメリカ人はあれだけ肥満が多いのにも関わらず、糖尿病患者 が殆ど居ないのは、肉食中心で、デンプンを含む糖質を摂取し ていないからだと言われている。戦後、日本人の平均寿命が 大幅に伸びたのは、米中心の食事から肉を取り入れた欧米流 の食事に転換したからだという説がある。これは、いわゆる 巷で言われている常識とは全く逆である。糖尿病は、デンプン を主食とし糖質を多く取っているからなるものだと思った方が 良い。

私も糖質摂取を制限した結果、まだかなりの肥満体ではありな がら、中性脂肪は殆ど下限値までに下がった。血圧、血糖値も 良好な値に下がってきた。この療法が簡単なのは、とにかく主食 (米、パン、うどん、そば、パスタ)を食べなければ良いだけ である。後は、今までどおり、常識的に好きなだけ食べて良い と言うのだから非常に楽である。肉と油を出来るだけ避けた 菜食主義が最も健康に良いと言うのは大きな誤りであった。

さて、この本には、どのような驚きの事実が書かれているのだろう。 その一部を、ここで、ご紹介したい。それぞれ、言われてみれ ば、なるほどと納得することばかりである。それなのに、なぜ、 そういう議論がまともに為されてこなかったという疑問がむし ろ残る。

1.勤勉性の高い人は長寿

○勤勉な人は喫煙や過度の飲酒などの危険を避ける

○勤勉な生活をするには健康が必要条件

○人生全般で健康的な生活習慣を選択する傾向にある

2.社交性と長寿は無関係

○過度の飲酒や喫煙を伴うお付き合いが悪影響

3.陽気で明るい性格は短命

○お祭り騒ぎは不健康

○根拠のない楽天主義がリスクを招く

○むしろ心配性の方が健康の助けになる

4.悲観主義も短命

○衝動的に危険な行動を選ぶ傾向にある

5.体育会系と寿命は無関係

○ジョギングは長寿に効果なし、むしろ逆効果

6.結婚と長寿は無関係

○独身でも長寿は可能

しかし、離婚に関する以下の事実は不思議。

○離婚男性は短命

○離婚女性は長寿

7.社交ネットの大きさは長寿につながる

○善人は長生きをする

8.キャリアへの高い意欲は長寿に効果あり

○生産性の高い高齢者は長寿

○適度なストレスは長寿につながる

最後に、この著者達が力説しているのは、現代医療の 狭量な健康感を見直す時期に来ているということと、 薬に頼らない健康的な生活を目指すということで、 まさに私達夫婦が始めた糖質制限療法が良い例だと 諸手を上げて賛成してしまった。

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