中国に進出している日系の百貨店で、コロナ禍で一番売れた商品はメガネだという。相手のマスクから漏れて出る飛沫は、自身のマスクによって口から侵入することはある程度防げるかも知れないが、目から侵入することには無防備である。そのため、コロナ患者に相対する医療関係者はマスクだけでなく、目からのウイルス侵入を防ぐために必ずフェイスガードを着けている。確かに、中国の武漢で、最初に新型コロナウイルスで亡くなった医師も眼科医だった。
よくマスクの代わりに透明なプラスチック製のフェースガードをつけている人を見かけるが、あれは大きな間違いである。フェースガードはマスクの代わりにはならない。フェースガードは、マスクでは覆うことが出来ない目から感染することを防止するためである。外出する時な終始マスクをしていて、外食もしていないのに、一体どこで感染したのだろうと不思議に思っている方こそ、目からウイルスが侵入した可能性が高い。
私は、当初、コロナウイルスが目から侵入するのを防ぐために、花粉防止用のゴーグルを購入して着けてみたが、何とも、ものものしくて不自然だった。今では、外出する時には、必ずメガネを着けている。若い時は、近眼と乱視だったのだが、歳をとって老眼と重なり、今では本を読む時以外は全くメガネが要らなくなった。それでも、眼科医からは白内障の症状があると言われているので、紫外線とブルーライトを遮断する透明のサングラスをかけている。なぜ、透明かと言えば、色の濃いメガネは瞳孔を大きく開き紫外線の遮断効果が減少すると言われているからだ。今回のコロナ禍で、この透明サングラスが外出時には離せないものとなった。
コンタクトレンズを常用している、多くの若い中国人が日系の百貨店でコロナ感染防止用に洒落た日本製のメガネを購入している。福井県鯖江市は高級メガネフレームの世界的大産地だ。これが、中国の日系百貨店に於いて、コロナ禍でのベストセラーだというのだから驚きだ。確かに、コンタクトレンズは、手で挿入するし、その手にウイルスが付着していたらと考えると本当は恐ろしい。こんなニュースを報じている、日本のメディアがあっただろうか? コンタクトレンズ業界は大スポンサーだから、ご機嫌を損ねるわけにはいかないのだろう。
実は、中国では未だ完全にコロナ禍が収束しているわけではない。上海や北京のような大都市で、時々、一定数の感染者が判明しているのだ。しかし、その度に、短期のロックダウンを行い、1,000万人規模の大規模なPCR検査(もちろんプール検査)を行い、無症状感染者を徹底的に炙り出している。彼らは、彼らなりに地道で継続的な努力を重ねている。「なにしろ、中国は、強権社会だからね」と言ってしまえば、それで終わってしまうが、本当に、それで良いのだろうか?