9.放射線の話  

東京都の水道水が放射能汚染されているというニュースが流れて大騒ぎになった。今日は、だいぶ下がってもう安全宣言がされているので一安心だが、天気予報は今夕から雨と言っており、また少し値が上昇するかも知れない。とにかく放射線は、目に見えないから、余計に、その恐怖心を煽ることになる。毎日、行われている枝野官房長官の記者会見は、外国人記者が翻訳できなくて苦しんでいるそうだ。日本語で聞いている我々も、安全なのか、そうでないのか判らない話し方だから、Yes/Noが日本語より明確な外国語に翻訳するのはさぞかし大変なことだろう。

だいぶ前に医者をしている弟から「レントゲン検査を受けてガンが見つかる可能性より放射線被曝でガンになる可能性の方が、ひょっとしたら高いかも知れないよ。もっとも、どちらも極めて低い確率だけどね。とにかく胸のレントゲン検査は毎年やらないほうが良いと思う。」と言われてショックだったことがある。それでも、私は未だに胸のレントゲン検査を毎年受けている。「今更、そんなことを言われたって」という思いからだ。しかし、少しは弟の助言を参考にして胃のバリウム透視は避けて胃カメラの方を選択している。

3年前に、前立腺ガンが見つかったときに、主治医から「あなたは人一倍、飛行機に乗っていたからね。」と言われた。確かに一番忙しいときは1年に30万マイル近く飛んだ。累積マイル数でもアメリカンとJALでは既に100万マイルを越え、ANAを含むStar Allianceでも、もう50万マイル近くになっているはずだ。最近、よく比較に出されるが、飛行機では成層圏でかなりの量を被曝するという。「それに比べれば、今、検出された、この放射線量は全く安全だ」と言う意味だろう。しかし、私は、この成層圏被曝を事前に知らされていたとしても、飛行機に乗って外国へ行く回数を減らしたとは思えない。多くの見知らぬ国に行って、多くの人と会い、いろいろな事を学ぶことは被曝のリスク以上に多くのメリットがあるからだ。

広島と長崎で原爆の体験を持つ日本人は、放射線に対して過剰なアレルギーを持っていると言われている。もちろん、放射線に対して、十分に注意することは良いことなので、アレルギーとも何とも言われようと気にする必要はないように思える。ところが、話は、そう簡単ではない。例えば、ガン治療の話である。私もガンを宣告されてから、多くの専門書を読み、インターネットでも調べて、また専門医によるセカンド・オピニオン、サード・オピニオンも聞いた。最終的に導き出した結論は、「私にとって最良の治療方法は放射線」ということだった。このことは、ガン治療の先進国であるアメリカでは当たり前のことらしいが、日本での放射線治療率はアメリカの約半分である。私が放射線治療を施して頂いていた医師は「日本人は放射線を殺人光線だと思っていますからね」と困った顔をして言う。とくに、最近のガン治療は、本人告知が前提で治療方法も最終的には本人が選択する。このときに、日本人特有の放射線アレルギーから来る正確でない知識に妨げられて、せっかくの治癒機会を失っていくのは勿体ない。

この混乱の中で、我々は冷静に判断し行動することが迫られる。乳幼児や子供と、私のような高齢者と、どちらを、どのように優先順位付けすべきかは明白だ。政府は真実を全てリアルタイムに公開してほしい。それを参考にして避難すべきかどうかを判断するのは市民自身である。

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