413  日韓関係について考える

2018年、日本は外国からの観光客が、ついに念願の3,000万人を突破した。そして、その中身は、中国からが800万人、韓国からが750万人と中韓合わせて半数以上になっている。首都圏の鉄道のほぼ全ての駅で、日本語以外に、英語、中国語、韓国語が併記されるようになったのも十分納得できる。国家同士では、決して蜜月関係とは言えない中国や韓国から、これだけ多くの人々が日本に好感を持って訪れている現実には改めて注目せざるを得ない。そして、多くの日本人も韓国を訪れている。

日韓両国の多くの民間人が、お互いに好感を持って相互に交流しているのにも関わらず、昨今の日韓関係は暗澹たる状況にある。前政権を非難して、自己を主張するスタイルは、どこの国でも政治家の常套手段であり、文在寅政権が、朴槿恵政権が行った対日政策を全て否定したがるのも感情的にはわからないでもない。そうは言っても、文在寅政権の政策が、韓国の将来にとって、本当に得なのかどうかと私は疑問に思わざるを得ない。しかし、我々は、朝鮮半島における南北政権が置かれた状況を、彼らの立場に立って、もっと深く考えてみる必要があるのかも知れない。

そもそも、韓国は、地下資源に恵まれない日本と同様、貿易立国を国の中心政策に置かざるを得ない。そして、韓国が最大の貿易黒字国としているのは中国であり、最大の貿易赤字国は日本である。この意味で、韓国から見れば中国は最重要顧客であり、日本からの輸入品は早く内製化して赤字を解消したいと思っている。そして、韓国経済が大きく低迷し、ウオン安に苛まれているのは、中国経済の低迷ということだけではない。中国は、これまで韓国からの輸入品であった液晶や半導体を急速に内製化しつつあるからだ。

韓国経済の飛躍的な発展は、鉄鋼、造船、液晶、半導体と、かつて日本が得意としてきた分野を国と財閥が一体化して繁栄させ成し遂げられたものだった。一時は、一人当たりのGDPで韓国が日本を追い抜くかという状況にまで到達した。しかし、その全ての業種において中国から追い上げられ、日本の背中はまたさらに遠くなった。今や、中国は韓国にとってお得意様から熾烈な競争相手に変化した。ここで文在寅政権が韓国経済に対する起死回生の一手として考えていると思われるのが、安価な労働力と豊富な地下資源を有する北朝鮮との経済的統合だという推理は、決して荒唐無稽ではないだろう。

第二次世界大戦後、分断された国家は、ドイツ、ベトナム、朝鮮の3カ国だったが、ドイツは東西統一でヨーロッパの最優等生となり、近年、ベトナムもアジアで最も高い成長を示す国家となった。残されたのは、世界で唯一、朝鮮だけである。特に、ドイツが西欧で最も経済が繁栄した大きな原因は賃金が抑制されたからだと言われており、安価な労働力を有した東ドイツとの併合が大きな要因である。文在寅政権は、このドイツを目標としているのではないか。現在、韓国国内では、ブルーカラーの極端な人手不足に悩んでいて、政府が主体となってアジア各国から多くの労働力を補充している。文在寅政権としてみれば、同じ朝鮮語を話す、安価な労働力が目の前に豊富に存在するというのに、なんと勿体無いことと思っているだろう。

世界が、対北朝鮮政策の基本としている「非核化」という問題についても、今の文在寅政権は、本当に大きな問題と捉えているかどうか甚だ疑問である。常識的に考えて、同じ民族である同胞に対して残虐な核兵器を使用するとは考えられないからだ。むしろ、将来の朝鮮半島統一国家として核保有国の資格を得られるというメリットの方を文在寅政権は好ましいと考えているのかも知れない。

もちろん、日本として、こうした文在寅政権の考え方については、全く同意できない話であるが、アメリカは、特にトランプ大統領は、一体、どう考えているのだろうか? 私には、トランプ大統領は、北朝鮮については、もう、どうでも良いと思っているのではないかと思えて仕方がない。アメリカは、かつて、共産勢力が世界で覇権を持つことを阻止するために、多くの自国民の犠牲を伴ったベトナム戦争を仕掛けたが、結果として大敗北をした。それでも、北ベトナムに統一された「新たなベトナム」が中国の属国になることはなかった。鄧小平時代には、中国から戦争を仕掛けられても、ベトナムは決して中国に屈することはなかった。

だから、アメリカは、仮に、在韓米軍を撤退させて、最悪、北朝鮮が韓国を併合したとしても、中国は、朝鮮半島を支配下に置くことは出来ないだろうと思っている。中国とベトナムが、長い歴史の中で、常に、戦ってきたのと同じく、中国と朝鮮半島の間にも長い戦いの歴史があった。韓国は、世界でも珍しくチャイナタウンが存在しない国である。そればかりか、私は、ソウルで中華料理店を見たことがない。韓国と中国との間には、今でも、かつて高句麗であった広大な中国東北部の帰属という深刻な問題を抱えているからだ。こうして考えると、全くの極論だが、アメリカは、中国への牽制として、朝鮮半島に核保有国があっても構わないと考えているのかも知れない。

その意味で、アメリカは、既に、北朝鮮を核保有国として認めても良いと思っているかも知れない。世界で、一度、核を保有して断念した国は南アフリカしかない。今更、北朝鮮で非核化を実現するのは、もはや無理だと思っているだろう。それでも、アメリカを標的とする大陸間弾道ミサイルさえ持たなければ、当面、アメリカにとって実害はない。北朝鮮が、連続して大陸間弾道ミサイルの打ち上げに失敗したときに、実は、アメリカのサイバー攻撃が原因ではないかとの噂があった。アメリカには、その位の技術力は十分にあると思った方が良く、また、迎撃ミサイルで防御するより、はるかに現実的な話である。

以上、私が述べたことは、すべて何の根拠もない妄想だと思って頂いた方が良い。ここで私が申し上げたいことは、日本と韓国の間の政治的な問題は、日韓両国政府だけで解決できる問題ではなく、アメリカや中国やロシアなどを含めた複雑な国際関係が絡んでいるので、直ちにスッキリ解決できる道はないということである。だからこそ、日韓両国間においては、民間ベースの関係をさらに発展させて行く道しか残されていない。そして、それこそが、我々が出来る日韓関係改善の唯一の方法である。

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