2013年7月 のアーカイブ

233 Yコンビネーター

2013年7月8日 月曜日

この本「Yコンビネーター」はサンノゼ州立大学のストロス教授が、シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクールに潜入し、独占取材して書かれた著作である。このスクールは、1998年に自ら創設した企業「ヴィアウエブ」をヤフーに5000万ドルで売却したポール・グレアムがスタートアップを支援するためにシリコンバレーに創設した。このスクールからは、既にDropBoxやAirB&Bなどシリコンバレーを代表する成功者が、次々と輩出されている。

さて、シリコンバレーで最も尊敬されている人物はリンクトインの創業者であるリード・ホフマンである。彼は100近いスタートアップを支援し40億ドル以上の莫大な資産を築き上げた。これまでのアメリカンドリームの成功者は早々と実業界からリタイアして広大な牧場を買って悠々自適な余生を送るというものであったが、ホフマンは全く違った人生を歩んでいる。彼は、今なお、自身の莫大な財産を多くのシリコンバレーのスタートアップに投資して、その起業を助けているのである。

ちなみに、このホフマンはAppleに就職し、その後、富士通を経て1997年SocialNet.comというSNSを創設する。このホフマンの最初の起業は何と7年間も努力したが、うまくいかなかった。しかし、彼はPayPalの創業に参加し、COOとなって大成功を収め、今日の礎を築く。そう言えば、私が、米国に渡ったのは1998年だったので、その1年前にホフマンは富士通を辞めている。実に惜しかった。もう少しでホフマンが昔の同僚だと、皆に自慢できたのに。

ポール・グレアムも、こうした投資家の一人であるが、彼のユニークな点は、単に投資し助言するだけでなく、Yコンビネーターという学校を作り上げていることにある。私は、今年1月、世界の中で唯一活況を呈しているシリコンバレーが、なぜ沸き立っているのかを調べるためにサンフランシスコからパロアルト、そしてサンノゼまで多くの人とお会いした。その中で、起業を支援するスタートアップ・アクセラレーターも何社か尋ねてみた。そして、このスタートアップ・アクセラレーターを起こした人々が、最も尊敬する人物は、やはりリード・ホフマンだった。この本で書かれているYコンビネーターの代表であるポール・グレアムもリード・ホフマンに多くの刺激を得ていることは間違いない。

なぜ、新たなイノベーションを起こすための起業は、シリコンバレーでなければならないかという疑問に、この本は大変丁寧に答えてくれる。当初、グレアムはYコンビネーター(以下YCと略)を創設したのはマサチュセッツ州ケンブリッジだったが、グレアムは、やはりシリコンバレーでなくては駄目だと信じて家族を連れてシリコンバレーに移転した。だから、グレアムは自分が支援するYCに入る条件の第一番目として、まずシリコンバレーに引っ越してくることを挙げている。それは、シリコンバレーが「起業することが当たり前のコミュニティー」であるからだと言う。つまり、シリコンバレー以外の地域では、「なぜ起業したかを説明しなければならない社会」なのに、シリコンバレーでは「なぜ起業しなかったのかを言い訳しなければならない社会」だからと言うのである。そうした多くの起業家に囲まれていることが刺激になり、また多くのことを学ぶことが出来ると言う。さらに、グレアムは「スタートアップが集積していない場所にいることはスタートアップにとって害になる」とまで断言しているのだから恐れ入る。

さらに、グレアムは、「起業家は25歳以下でなくてはならぬ」とも言っている。もちろん、これはレトリックである。実際、YCで成功している者の中には40歳を超えている者もいる。それでは、なぜ、25歳以下が条件かと言えば、グレアムは、起業家としての成功条件には5つの資質が必要と言っている。その資質とは、「スタミナ、貧乏、根無し草、同僚、無知」だという。つまり起業するということは、それほど大変なことだということだ。「根無し草」とは、妻子というしがらみを持っていたら到底成功出来ないということ。「無知」とは、起業に関わる苦難を深く認識していないことが重要だと説く。また、「同僚」とは大学の同級生でもよいから共同創業者が絶対に必要だと言う事。一人で起業して大成功した例は皆無だと言う。お互いに励まし合い、またチェックし合っていくことが非常に重要だと言う。

グレアムは起業で成功するためのアイデアを生み出す3か条を次のように定義している。1.創業者自身が使いたいサービスであること。2.創業者以外が作り上げることが難しいサービスであること。3.巨大に成長する可能性を秘めていることに誰も気が付いていないこと。の3か条である。まず、グレアムは面接で、YCに参加するスタートアップを選考していく。1回の面接で合格する確率は、約2%だというから、YCに入ることが、いかに厳しい選考条件であるかがわかる。そして、YCに参加したら100日後にはプロトタイプを投資家の前で見せてプレゼンテーションをしなくてはならない。このプロセスで成功するのも、2%程度だと言うから。YCの中でも、最終的にベンチャーキャピタルから大きな投資を受けるのは、ほんの一握りのスタートアップだけである。

それでも、シリコンバレーの若者たちは、何度も何度も失敗しながら、時にはパートナーを変えてでも新たな起業に挑戦する。第二のGoogleをめざし、第二のFacebookを目指して次々に挑んでいく。そして、そのことが無駄にはならないのだ。リード・ホフマンのように最初の起業で失敗しても、そこで頑張ったキャリアを見込まれて誘われた、次の起業で成功するかも知れないからだ。

さて、今年1月のシリコンバレー訪問で、私が考え込んでしまった大きな問題が、この著作でも述べられている。つまり、「思いついたら100日でプロトタイプを作れ!早く、市場に出して顧客の評価を得ることだ」という点である。確かに、言われてみれば正しいように聞こえるが、「思いついて100日でプロトタイプが出来る」ということは、「基礎研究が要らないビジネス」ということである。今のシリコンバレーは、こうした「基礎研究が要らない」ビジネスの成功者ばかりである。Apple、Google、Facebookの3者だけで時価総額72兆円、これは日本の1位トヨタから10位ソフトバンクの時価総額の合計を凌ぐだけでなく、トルコ1国のGDPにも相当する。

戦後、日本のエレクトロニクス産業は、ソニーのトランジスタラジオやシャープの電卓などアメリカの基礎研究のただ乗りと言われて長らく非難をされてきた。こうした非難を逃れるために日本は産官学が一緒になって基礎研究に注力し、DVDや液晶、電池など多くの新規産業分野を作り出すが、それが瞬く間に、台湾、韓国、中国にただ乗りされて一気に衰退してしまうこととなった。多くの特許も、産業移転を防ぐ手段としては全く役に立たなかった。産業振興にはイノベーションが要る。そして、そのためには、基礎科学、基礎研究が重要だと言う論理には、どこか誤謬があるような気がしてならない。儲かるビジネス、社会を変えるビジネスとは、もっと身近にあるのかも知れない。

232 ドイツの強さは今後も続くのか?

2013年7月7日 日曜日

EUの中でのドイツの圧倒的な強さ、まさにドイツの独り勝ちが欧州経済危機の一つの要因であるとも言われている。ドイツ各地域に存在するオーナー経営によるグローバル・ニッチを目指した中堅企業がドイツの輸出を支えている。ドイツの素晴らしさは低い失業率だけでなく、雇用の質にも現れている。高学歴の技術者や専門家が、ドイツの全就業人口の35%を占めているのだ。ちなみに日本では16%であり、ドイツの半分以下である。先進国も新興国も全世界の国々が、どこも高学歴若年層の雇用吸収で苦しんでいる。ドイツを除く、EU各国では、大学を卒業した若年層は卒業していない同年齢層に比べて失業率が2倍であると言う。高度な教育を受ければ仕事が見つかりやすいと言うのは、もはや過去のことである。

このドイツは、EUの他の国々に比べて経済成長率で、ここ数年かなり劣っていた。一方、スペインやイタリアや東欧諸国はEU加盟後、高い成長率とともに、適度なインフレを起し、賃金も大幅に上昇するなど、わが世の春を甘受してきたのである。まさにアベノミクスを実現していたと言える。ところが、こうしたドイツ以外の国々は、賃金上昇に見合った生産性向上が出来なかったために、国際競争力を急速に失っていった。ドイツだけが、低い経済成長率の中で賃金上昇も抑えられた結果、一層、EUの中でも、ドイツがダントツの国際競争力を維持することが出来たと言うわけである。つまり、南欧や東欧の各国は賃金上昇を生産性向上から原資を充当したのではなくて、国債金利が下がった利点を生かした財政出動で賄ったとも言える。当然、こんなことが長く続くわけがない。このことが長引く欧州経済危機の元凶となった。

一方、ドイツも金融界だけは、この南欧、東欧の経済バブルに乗って高金利の債権で巨額の恩恵を受けた。しかし、その後遺症は大きく、ドイツ金融界はギリシャに端を発した南欧の財政危機によってGDPの20%にも及ぶ巨額の海外金融資産を失ったと言われている。もう、ドイツはキリギリスのような南欧各国の支援をするくらいなら、英国に続いてEUから脱退したいのではないかとも言われているが、実際にはそうでもない。EU加盟の恩恵を受けているか?という質問に対して、ドイツ国民は他のEU諸国以上に、EUに対して圧倒的に高い支持をしていることがわかる。ドイツ国民は、EUを脱退してマルクに戻ったら、マルク高でドイツの輸出が壊滅的になることを良く知っている。ドイツは為替に対して大変敏感である。あのメルケル首相が、円安を誘導したアベノミクスに対して批判的であることからも、それがわかる。

さて国として圧倒的な強さを誇るドイツは、国民一人ひとりのレベルで見たらどうなのか?という視点に、今まで言及してきた人は少ない。先週のエコノミクスの論文では、ドイツの平均家計資産が、スペインやイタリア、フランスやギリシャに比べて圧倒的に少ないことを指摘している。これは、多数のドイツ国民が持ち家を持っていないことにも起因しているらしい。ドイツは南欧に比べて国は豊かであるが、一人ひとりの国民は貧しいという統計結果になっている。だからこそ、ドイツが輸出競争力が維持できたとも言えるが、今後、世界経済が減速して輸出が減退したときに、ドイツ経済は内需で支えられる力を持ちえないかも知れない。またエコノミストは、世界的に強いドイツの中堅企業のオーナー達は、好調な輸出に支えられ巨額の資産形成を行っているので、ドイツ国民の間で貧富の格差はかなり広がってきているとも指摘している。

さて、問題は、好調なドイツの輸出の中身である。ドイツを支えている輸出産業の中身は鉄道を含む産業機械、化学、自動車と言った分野である。そして、その輸出先の70%が中国である。私は、家電、プラント、自動車と言った中国企業の工場見学をさせて頂いたことがあるが、その製造設備の殆ど100%がドイツ製であった。以前、中国の政府高官から、「中国の製造業は、設備は一流、技術は二流、製品は三流だ!」と言う話を聞いたことがある。もちろん、これを素直に受け取ってはいけない。これは、「中国企業は、まだ製品が三流であったとしても、一流になることを目指して設備は一流のものを入れている」という意味である。つまり、中国企業は世界でも一流と言われる高価なドイツ製製造設備を、こぞって導入している。自動車もそうである。今、中国の政府高官の車は全てアウディである。また、企業のTOPは、大体、メルセデスかBMWに乗っている。中国で高級自動車と言えば、それはドイツ製を意味している。

しかし、その中国が変調をきたしてきたように見える。中国に大量の鉄鉱石を輸出してきたオーストラリア、ブラジルの経済までもがおかしくなってきている。今の中国企業は、膨大な過剰設備と巨額の過剰在庫を抱えて苦しんでいる。高成長の中国経済を支えてきた国営企業は市場原理ではなく国家統制によって採算度外視の過度の競争を強いられてきた。しかし、最近の上海市場の株価の下落を見ていると、新政権は、中国経済のバブルを何とかしてソフトランディングさせ、中国経済を高成長から持続的な安定成長へと移行させようとしているように見える。

それは、それで素晴らしい政策と言えるが、そのことが中国の人々にとっても、中国へ過度の集中依存をしてきたドイツ経済にも少なからず苦しみを与えることになるだろう。EUの将来を担う大きな役割を期待されている強いドイツが、これから大きな試練を受けることになりそうだ。

231 ドイツの強さの秘密

2013年7月5日 金曜日

今週、月曜日、前橋市役所にて市の職員の方々に向けて「日本再生のカギは地域が握っている」という趣旨の講演をさせて頂いた。もともと、数か月前に高崎で行われた富士通フォーラムにてさせて頂いた私の講演を聴講して頂いた、山本龍前橋市長から是非前橋市役所の職員向けにやって欲しいと依頼されて実現したものであった。午前中の講演に、また一番前の席で聴講されておられた山本市長は、昼食の時に、私が講演の中で推薦させて頂いたハーマン・サイモン著「隠れたチャンピオン企業」をご持参されて、「この本に書いてあることは本当に素晴らしい」と絶賛された。

ドイツ出身で、我が富士通総研の上級主任研究員であるシュルツ氏の論文も多数引用されている、この著作は、1980年代に日本に徹底的にやられたドイツの製造業が、日本とは別な土俵で見事に復活する話が描かれている。つまり、ドイツの企業が目指したのは、日本が得意な安価で高品質なコモデティ製品を大量生産する産業構造から離れて、競争者が少ないけれども付加価値が高い隙間市場を世界中で探し求める、いわばグローバル・ニッチ市場で活躍するというものであった。

日本を代表する超一流企業であるパナソニック、ソニー、シャープが巨額の赤字で苦しんでいるのは、安価で高品質な製品を大量に生産するというコモデティ分野である。具体的には、TV、液晶、リチウムイオン電池と言った、かつて日本が先導したハイテク産業である。今や、この領域は、韓国、中国、台湾と言ったアジアの新興国が得意な産業分野となった。半導体も、また例外ではない。ドイツは、こうした「コモデティの罠」からとっくに脱していたのだった。

そうしたドイツのグローバル・ニッチ産業を支えるのが、世界中の殆どの人が聞いたことのない名もなき中小企業なのだと、この「隠れたチャンピオン企業」には書いてある。そして、これまで日本が苦しんできた、いわゆる失われた20年間に作られた20種類の「成長戦略」には全く書かれていない、いわば業界の常識とは真逆の戦略が書かれている。例えば、ブランドを強くすることは利益にはつながらない。高度な研究開発も利益にはつながらない。素早い意思決定は失敗を招くだけであると言った具合である。

グローバル・ニッチで活躍するドイツの製造業は、ドイツの田舎にあって、オーナー企業で、素早い高成長を目指さず、世界中の顧客とじっくり会話をしながら着実に成長してきた。グローバル化も自分の身の丈にあうよう、毎年2-3か国づつ取引する国を増やしていくといった具合である。

そして、なぜ田舎であり、地域に存在するかと言えば、世界のめまぐるしいトレンドの変化に引きずられない恒久的なニーズに対して焦点を当ててきたからにほかならない。さらに、その地域に昔からある独自性を競争力として、他の人が注目しないような分野で差別化を図っていく。これこそ、21世紀の日本が目指す分野ではないかという気がしてくる。あの東日本大震災の直後に東北各地の名もない中小企業が世界のサプライチェーンをストップさせるほどの突出した技術を持っていたことに世界中が驚いたではないか。

それだけの技術を持っていながら、なぜ永年の間、薄利の下請けに甘んじていなければならなかったかという疑問である。そうした日本各地の「臥龍企業」を、もっと世界に羽ばたかせれば、日本は、地域から活性化を始めることが出来る。それは巨額の研究開発投資をも必要としない産業振興策となる。そうは言っても日本各地の臥龍企業が、いきなり単独で世界に出て行くには、やはり力不足である。私の提案は、そうした多くの臥龍企業が、お互いに得意技を利用し合って連携を深めることによって世界を驚かせるようなイノベーションが生まれるのではないかということである。それには、ITが大きな役割を果たせだろう。

さらに、前橋市役所に引き続いて、こうした私の提案に共鳴して頂いた群馬県企業局様からは9月6日に講演会とパネルディスカッションを開催して頂くことになった。群馬県は多くの総理大臣を輩出した政治的に力強い地域であるので、ここで地元の中小企業連合による産業振興事例が成功すると、それが日本全体を牽引することになるかも知れないという期待もある。

さて、先週のエコノミストに「ドイツの奇跡を解剖する」と言う題で、なぜドイツが欧州の中でダントツの一人勝ちになったのかについて分析する記事が載っていた。まず、最大の要因は為替だと言う。本来、ドイツ程の強さを持っていたらドイツの旧通貨であるマルクはもっと高い評価にあった。それが、欧州全体の経済危機でユーロが低く評価されているためにドイツは大きな恩恵を受けていると言うのである。その意味でも、今回のアベノミクス政策で為替が適正な水準に戻ってきたのは朗報である。

そして、第二番目の要因として、ドイツの各地域で活躍するオーナー経営の中小企業の存在を挙げている。これらの企業は、ドイツが得意とする3大産業分野、「産業機械」、「化学素材」、「自動車」に関連したビジネスを行いドイツの輸出産業を支えているという。しかし、日本と大きく違うのは、このドイツの地域に根ざす中小企業が十分にグローバル企業であり、全世界に100ヶ国以上の販売拠点を持っているだけでなく、製造拠点も10か所以上、海外に保有している点にある。ドイツの中小企業は地域に根ざしながらも大企業の傘下で下請け企業として甘んじてはいないのだ。

さらにドイツ経済で最も評価されているのは失業率の低さと言われている。ドイツの失業率は5.4%とOECD各国の中では最も低い。特に25歳以下の若年層の失業率は8%以下であり、アメリカの半分、欧州各国の3分の一以下である。しかし、過去10年間のドイツの経済の成長率はアメリカや他の欧州諸国より決して高いとは言えない低成長モデルであった。実は、ドイツも20世紀初頭は高い失業率で悩んでいたのだった。旧東ドイツの併合で国全体が疲弊し、EU拡大と共にドイツの製造業は拠点を次々と東欧圏に移していった。ドイツ製造業の空洞化は深刻だったのだ。

これを救ったのが、シュレーダー政権がドイツの産業労働組合と話し合って行った非正規雇用の拡大と低賃金労働者に向けての大幅な減税だった。この雇用改正と減税によってドイツには多くの種類のパート労働機会が生まれて、完全失業率が大幅に下がったというわけである。非正規労働に大幅な制限を加え、解雇基準を強化したスペインが欧州最大の失業率に悩み、50%以上もの異常な若年層失業率に喘いでいるのとは対照的である。ドイツでは、こうした労働法の改正にともない教育休暇制度も拡充させ、職業転換への施策も強化している。

非正規労働は格差を拡大するという非難は、確かに的を射ていると思うが、世界の雇用状況は最早、一国の政府が政策として自由に出来るモノではない。世界中の全ての国々が否応なくグローバリズムに組み込まれている中で、スペインのように非正規労働制度を排除し、硬直した雇用制度を守りぬく国では、企業は次々と新規投資を控え、さらに若者の新規雇用を控え、スペイン出身の企業ですら国外へ転出していった。スペインとドイツと、一体、どちらが幸せな国なのか、私たちはじっくりと考えなければならないだろう。