‘未分類’ カテゴリーのアーカイブ

392 なぜ、そんなに医者になりたいのか?

2018年7月5日 木曜日

今、文科省の科学技術・学術政策局長が、ご子息を東京医科大学に不正入学させた汚職問題で大きな話題になっているが、私は、そこまでして、なぜ、愛息を医者にさせたいと思う気持ちが全く理解できない。最近、開成、灘、栄光学園など、これまでの東大進学率で上位の有名進学校が揃って東大合格者を減らしているのは、他大学医学部への進学者が増えているからだという。どうして、そんなに、皆、医者になりたいのだろうか、私には全く理解できない。

私の末弟も、現役で東大理一に合格しながら、どうしても医者になりたいと東大を中退、東北大の医学部に進学し、めでたく医者になったが、結局、狭い医師界の旧習に妨げられ白河の関を越えることが出来なかった。生まれ故郷に帰って来たかった末弟は、現場の医師として生きることを断念し、大手生命保険会社の審査医になった。当時は、生命保険会社の審査医というのは、医者の落ちこぼれ的なポジションだったらしいが、現在では、憧れの職業としてランキングされ、希望しても滅多に成れるものではないという。それだけ、医師という職業が、繁盛している親の医院を継ぐでもなく、勤務医として働く限りは、労働環境として過酷な割に報酬には恵まれない辛い立場に追い込まれている。

かつて、医師は地域の名士であり、高額所得者として、庶民の憧れの的であった。しかし、今は、かなり事情が違っている。私の妻の実家は、かつて東北の豪商であり、長男が家の財産を次ぐ代わりに、弟たちを全員医師にさせた。その子供達が、現在、東北各地で医師として開業しているが、過疎化と少子高齢化で、親の代に比べて決して楽な生活ではない。そのせいか、その子供たちは、もはや誰も医師の道には進んではいない。医師というのは、よほど人道的な精神を持ち合わせていない限り勤まらない職業となった。決して、楽に、お金儲けできる商売では、もはやない。

私は、かつて東大受験時代に、東大の学生が主催する東大学力コンクールという模擬試験を受けていた。志望学部を理一(理学部、工学部)と書いて、時々だが、ベスト10に入ることがあったので、イタヅラ心に、ある時、志望校を理三(医学部)と書いて見たら、何と1位になったのには正直驚いた。当時は、医学部が特別難しいというわけではなかったのだ。それでも、私は医者になりたいとは思わなかった。人間の身体に手をかけることに自信がなかったからだ。私の末弟も、死体解剖の後は、1週間ほど食事が喉を通らなかったと言う。その東大学力コンクールの模擬テストで常にトップだったH君も、親が医師なのに、私と同じ電子工学科に進学してきたのにはビックリした。彼は間違いなく、理三(医学部)を受験してもトップ合格したはずである。

最近、日本経済新聞社が出した「財政破綻後 危機のシナリオ分析 その時、日本社会に何が起きるのか?」を読んだ。今、黒田日銀総裁が続けている異次元緩和が出口を見出せなくなった時、日本は間違いなく財政破綻するだろうと、この本を執筆している識者たちは全員揃って同じ論理を展開する。最大の問題は、多くの日本人が、その危機感を共有していないことだという。さて、その財政破綻後には何が起きるのか? 年金の問題、介護の問題、生活保護の問題とか、いくつか破綻する問題があるが、国民全員にとって、一番わかりやすい問題は医療費の問題だそうだ。

今でも、日本の国家予算は100兆円。医療費は軽く50兆円を超えているが、2030年には、確実に70兆円を超えるという。当然、国民皆保険制度は危機に陥るが、国家財政までもが破綻すれば、それを補填をする余裕などなくなる。つまり、現在の医療制度を日本は維持できなくなるかも知れない。そうなれば、富裕層以外の、多くの人々は、病気にかかっても病院にはいけなくなる。それで、多くの病院が破綻する。薬剤費も、今の価格を維持できなくなり、多くの薬局も、今のビジネスの継続が困難となる。当然、医師の報酬も、薬剤師の報酬も、今のレベルは維持できない。まず、医師の数という意味でも、現行の医師数を維持することは難しくなるだろう。

つまり、国家財政の破綻を見据えて日本の医療制度も抜本的な改革が迫られている。もし、医師という職業を高給取りのエリートとして考えているのなら、今からでも良いからやめた方が良い。文科省のエリート官僚が、どうして、隣の厚生労働省が抱える大きな問題を見抜けなかったのか私には全く理解できない。だからこそ、これほど、稚拙な過ちを犯したのだろう。むしろ、霞が関の官僚の方々に真剣に考えて頂きたいのは日本の財政破綻をどう防ぐかという大きな課題である。次の選挙のことだけしか考えない政権に対して忖度だけで仕事をしていたら日本は本当に地獄になる。

391 中西宏明さんの経団連会長就任

2018年6月7日 木曜日

このたび、学生時代からの永年の友人である中西宏明さんが、6月1日付けで経団連会長に就任されたことは、まさに、同級生全員の誉れである。偶然かも知れないが、半年も前に設定されていた、翌6月2日の同級生ゴルフコンペにおいて、中西さんの経団連会長就任だけでなく、コンペの優勝まで、皆でお祝いを述べることができたのは、私たちの無常の喜びであった。

私にとって中西さんは、学生時代に私を指導してくれた大恩人であると共に、最も尊敬する経済人の一人である。テレビで放映される発言を聞いても、シンプルで分かりやすく、全く衒いがない。これから日本の経済界を変えてくれるのではないかという期待が大きいのは私だけではないだろう。そして、長い間、一緒に話しているせいか、私には、中西さんの気持ちが痛いほどわかる。

今、丁度、中西さんが会長を務める日立製作所の英国原発問題が、新聞紙上を賑わせている。前期、史上最高益を計上した日立の株価が1,000円にも届かない最大の理由は英国原発問題とも言われている。しかし、中西さんは、日本の原発に関して、その新設や再稼働の問題については、日立製作所の会長としても、経団連会長としても、今、その議論について積極的に与する気は全くないという。それでも、中西さんは、現実に、日本に54基存在する原発の廃炉問題について、日立は逃げる事は出来ないし、逃げるつもりもないと言う。だから、日立は、原発事業から撤退するつもりは全くないと明言する。

そして、今回の英国原発問題は、あくまで日立と英国政府の交渉事であって、日本政府には、その経緯を逐一報告はしているものの、支援してもらう事は一切期待していないと言う。そもそも、今回の問題は英国の内政問題であり、誇り高き英国政府は日本政府の干渉など望んでいない。その意味で、英国原発問題で、日本政府を巻き込んでいると言うような、一部マスコミの報道は事実を歪曲されていると憤慨する。それとは別に、英国原発事業は、日立の原発事業維持のためには何としても必要なのだと。だからこそ、総力を尽くして日立が生き残るための条件闘争を行っているのだと中西さんは言う。

中西さんのエネルギー政策の持論は、まず原発問題は外に置いて、日本の電力政策は世界の動向から見ても、今後は集中から分散に向かわざるを得ないだろうと言う。原子力か火力かは別にして、大規模発電所から電力を利用者に向けて配電していく従来のウォーターフォール型から、小規模分散型発電所の相互補完型へと移行する事は間違いないだろうと言う。その小規模分散型発電所としては、太陽光発電や、風力発電、小水力発電や地熱発電など多様な発電形態が含まれる。それぞれは、皆、不安定で頼りない発電源であるが、トータルとしては強力な発電インフラとなることは間違いない。

この時に、現在の送電網(配電網)とは、全く異なるものが必要となるが、この議論が、今の日本では、全くなされていないと苦言を呈している。欧州が再生可能エネルギーで世界に先行できているのは、この多国間を跨る送電網にあると言う。もともと、国境を超えた送電網では、相手の国の電力品質を全く信用していない。電圧も周波数も発電能力も、信用出来ないという前提で、送電網が設計されている。だからこそ、太陽光や風力といった、いい加減な電力でも全く困らない。一方、日本の電力網は、各地域電力会社の完璧な品質の電力供給を前提としているから、頼りない再生可能エネルギー発電の脆弱性には耐えられない。

中西さんは、中国の総代表を務められ、中国における日立の売り上げ1兆円を達成された後に、ロンドンに駐在され欧州総代表として活躍された。今日、鉄道や原発で日立が活躍できる基礎となった英国における日立のプレゼンスは中西さんが築かれたと言えるだろう。その後、日立本社の副社長を退任し、米国のシリコンバレーに駐在し、日立がIBMから買収したHDD(ハードディスクドライブ)事業の再建に従事された。川村さんが、中西さんを日立製作所再建のトップとして選ばれたのも、こうした海外での実績を評価されたからだろうと思われる。

私は、中西さんの足元にも及ばないが、米国シリコンバレーに駐在し、その後、富士通の海外事業の総責任者になった経験から、中西さんの考えに共鳴するところは非常に大きい。その意味で、中西さんには、日本の経済界を根本的に変えて欲しいと願っている。そう、せめて、日本企業を世界から見て、普通の会社に変えて欲しいと思っている。それほどまでに、日本企業の経営方針は世界標準からかけ離れている。今後、国内市場が一層低迷を続ける中で、日本企業の成長余力は海外市場での活躍しかあり得ない。

だからこそ、どの会社も「グローバル化」を声だかに叫んでいるわけだが、残念ながら日本の企業経営は根幹からしてグローバル経営とは程遠い。日本特異の新卒一括採用、年功序列、終身雇用、生え抜き社員の社長登用など、どれを見ても、世界の動向から見たら全く異様な光景である。だからこそ、忠実で上司に対して物言わぬ体育会系社員が尊ばれて、社内には忖度が蔓延り、いつの間にか、会社全体が腐って行く。今話題の日大アメフト部は、日本の企業文化を分かりやすく漫画化したものだと思った方が良い。

私のように、ここまで辛辣に物事を言うかどうかわからないが、中西さんは、こうした私の考えにかなり近いものを持たれていると思っている。だからこそ、私は、中西さんに、ぜひ、豊富な海外経験を活かして、まず、経済界から率先して、日本企業を世界の中でごく普通の当たり前の会社にして頂きたいと願う。就職氷河期に就活を迎えた人たちは今でも救済されていない。人材不足が叫ばれる中で、中途採用の促進など、労働市場の流動化を進めて頂きたいが、これは1社の方針だけで実現できるものではない。

先日、経団連会長室に案内された中西さんは、机に電源コンセントとイントラネットケーブルがないのに唖然としたと言う。それで、経団連のスタッフは直ちに電源コンセントとWiFiの設置を行ったらしいが、それは決してスタッフの責任ではない。多分、歴代の経団連会長は、寸暇を惜しんでメール作業などされなかったに違いない。一方、中西さんは、多忙極まりない現在でも、私たちへのメール返信の素早さには唖然とするものがある。あの、ホリエモンの名言「電話で仕事をする人とは絶対に一緒に仕事はしない。まさに時間の無駄だからだ。」に、私は心から賛同する。

中西さん、ぜひ、日本の企業文化を世界で戦えるように変えてください。日本の若い人たちは、もはや、旧態依然の叔父さん達が、リタイアするまで待てないのです。今のままだと、日本の優秀な若い人達は、どんどん外資系企業に移ってしまいます。ぜひ、経団連がリーダーとなって、日本企業文化の改革を促進されますよう、よろしく、お願いします。

390 日本のデンタルケアについて

2018年5月3日 木曜日

今年、人間ドックの歯科検診で、「70歳になっても、8本の親知らずを含めて32本の歯を保持している貴方は絶滅危惧種だ」と言われた。自分でも、どうして、このように丈夫な歯を維持できているのかについて、特別な自覚はない。最近、歯は健康維持と大きな相関があると言われているので、自身の体験について、少しばかり、ご紹介できればと思う。

小さい時は、一般の子供と同じく、特にデンタルケアに注意しているということはなかった。ただ、私を含めて男3人兄弟揃って、小さい時から歯が痛いということはなかったような気がする。原因と思われるうちの一つは、家が貧乏だったせいか、紙芝居を含めて駄菓子を買って食べるということは一切なかったことである。もう一つは、故郷である平塚が漁師町のせいか、毎日が、安価な魚中心の料理だった。つまり、糖分摂取が少なく、カルシウムの摂取は十分だったということが関係しているのかも知れない。

そのお陰か、初めて虫歯ができて歯医者に行ったのは20歳を過ぎてからだった。そうこうしている内に、会社員となり、何年か経って、定期健康診断の歯科検診で、次のような、実にショックなことを言われた。「貴方、歯は何で磨いていますか?」、「歯ブラシで磨いています」、「電動歯ブラシではないのですね? 電動歯ブラシは手の20倍の能力があります。ぜひ、電動歯ブラシで磨いてください」それ以降、Panasonicの電動歯ブラシを、今だに使い続けている。

次の転機は、20年前のアメリカへの転勤である。実は、アメリカ社会では、歯の健康状態は、極めて重要な社会的ステータスである。そのため、当時から、アメリカでは、多様なデンタルケア商品が数多く揃っていた。特に、私が心惹かれたのは歯間を清掃し歯垢を除去するフロスである。しかし、私は、このフロスをうまく使うことが出来なかった。その代わりに、私がアメリカで見出したのは、Y字型の歯間ブラシであった。

これは、実にうまく歯間を清掃できる。日本でも売られていた、ノコギリ型の歯間ブラシや、キリ型の歯間ブラシには、私は全く対応できなかった。その理由は、私の奥歯にある。糸だけのフロスや、ノコギリ型やキリ型の歯間ブラシでは、よほど大きな口を開けて器用に手を使わないと奥歯が上手く清掃できないのだ。しかも、私には「親知らず」だけでも8本の奥歯があり、普通の人より奥歯の比率が高いことにもよる。

日本に帰ってきてからは、東急ハンズで同じY字形の歯間ブラシを買っていたのだったが、輸入品で、あまり売れなかったのか、ある時から販売をやめてしまった。そこで、アメリカに出張するたびに、馴染みのTARGETに行って大量にY字型歯間ブラシを買い込んできた。ところが、嬉しいことに、3年ほど前から、日本でもSUNSTARがGUMブランドでY字型の歯間ブラシを売り出したのだ。最初は、それほど売れなかったようだが、最近は、着実に売れている。リピーターのファンが増えたのだ。日本もようやくアメリカなみのデンタルケア先進国になったということだろうか。

今、私は、朝と晩の2回、以下の4つのプロセスで歯磨きを行っている。まず、最初に、Y字型の歯間ブラシで歯垢を除去する。その後、電動ブラシに歯周病予防の歯磨きを付けて奥歯を中心に横方向に磨く。その後に、電動歯ブラシにステイン除去歯磨きを付けて前歯を中心に縦方向に磨く。それから口を水で嗽し、アルコールが入った除菌デンタルリンスを口に含んでグチュグチュと歯周病菌の殺菌を行う。こうして、毎朝、爽やかな1日が始まり、また毎晩、熟睡への誘いも完了する。

余計なお世話かもしれないが、昼休み、会社の洗面所で歯磨きをしている人達を見るにつけ、「この人達は、何をしているのかな?」と訝ってしまう。私が尊敬する歯科医の先生は、「最低1日1回歯磨きをすれば十分で、何度も歯磨きをすることは必ずしも良いことではない」と仰っている。また、「歯間ブラシで歯垢を除去することをキチンとやっていれば、本来、歯磨きなど必要ない」とも仰っている。それらが正しいとすれば、歯間ブラシも電動歯ブラシも使わず、昼休みまで、歯磨きしている人は、一体、何をしているのかな?と思う。

次に違和感があるのは、日本の「楊枝」である。私は小さい時から「楊枝」を使う習慣がなかった。虫歯がなかったので、食べ物が歯に詰まることがなかったからかも知れない。それに、食事が終わった後で、「楊枝」を使って歯を掃除している日本人の姿を欧米人は、どう思うだろうか?きっと、なんと無礼で野蛮な人達なのかと思うに違いない。さらに、歯科医に言わせると、「楊枝」で歯を掃除するのは歯茎をも傷めて、歯周病の原因にもなるので、絶対に、やめた方が良いと言う。

これまでの日本のデンタルケアの常識は、絶対に見直したほうが良い。それでも、最近の若い人達は、子供の時に矯正しているせいか、皆、欧米人並に歯並びが綺麗である。とても羨ましく、素晴らしいことだと思う。しかし、固いものを噛むことを嫌い流動性の高い食品を嗜好するらしく、顎が未発達なまま成人している人が増えていることが気になっている。ふわふわして、ふっくらしたパンより、固くジックリと噛まなければならないパンの方が遥かに健康的なことを小さい時からよく教えたほうが良いかも知れない。